山のこと、道具のこと。

山行

白峰三山を歩く

7月中旬。白峰三山を歩くことになった。最近は山といえば源流釣りばかり行っており、友人と7月下旬の縦走の足慣らし山行としてどこかに行こうというという話だった。

僕は昔から膝が悪く、長い下りで痛みが出ると、数ヶ月は違和感が取れない。白峰三山を広河原から入り奈良田へ下る南下ルートは、2日で3000m以上下る必要があり、正直積極的にはやりたくないコースだった。4日日程を空けたが、どこも天気が良くなく、それならばと最も人出が少ない日程で行くことにした。長い下りに、芳しくない天気、そして縦走という道を歩くだけの遊びに中々テンションが上がらないまま当日を迎えた。

前日の晩に奈良田に着き、自転車を発電所付近にデポ。これで帰りの30分ほどのコンクリ歩きを楽できる。平日ということもあり、バス停に最も近い駐車場が空いていた。ここで前泊して翌朝にバスで広河原へ。

予報通りの高曇りで、とにかくダラダラと歩いた。周りの景色が何も変わらない。気づけば北岳山頂についていた。本当に3000m峰にいるのか分からないくらい景色が白かった。高山植物はハイシーズン。花だけは良かったが、友人は1mmも花に興味がなく、一人でゆっくり写真を撮るのも憚られた。特にイワベンケイが見事だった。

ピークを踏んだら、北岳山荘に向かいツェルトを跳ね上げて設営した。一度普通に設営して高さを出した後、もう2本棒があれば跳ね上げてかなり広い宴会場を作ることができる。これはテントにはできないツェルトの特権である。

跳ね上げは一本は友人のポール、もう一本は自然の枝をお借りして。
跳ね上げは一本は友人のポール、もう一本は自然の枝をお借りして。

大人二人が足を前に投げ出して悠々と酒盛りができる。友人が持ってきたステーキ肉を僕のミニフライパンで焼いて生ビールを飲んだ。

なんと、冷蔵庫で冷やしてくれていた。
なんと、冷蔵庫で冷やしてくれていた。

太冠酒造は南アルプス市の酒蔵で、そのワンカップを飲んでいる。やや醸造アルコールみが強いので水で割ると美味しいが、北岳山荘の水場の水は天水で、そのまま飲むと塩素の香りがしてプールの水を飲んでいるかのようだ。この水で割るのはお勧めしない。僕は担いできた水で酒を割った。

また、浄水器を持ってきていたので、ツェルトの跳ね上げの木の棒に吊るして自動で浄水していた。これでいくらか匂いはマシになる。

翌朝はやや雲がきれ、ようやく縦走登山本番開始といったところであった。

北岳山荘と北岳。
北岳山荘と北岳。

間ノ岳。天気が持っていたのはこの辺りまでだった。
間ノ岳。天気が持っていたのはこの辺りまでだった。

早朝から、間ノ岳あたりはとても良かった。自分たちがいる尾根に加え、鳳凰三山、甲斐駒、仙丈、塩見、中央アルプスなどが雲の切れ間から見えた。夏の高山植物も素晴らしく、これが縦走の良さだよな〜と雲が出るまでの短い間ながら楽しむことができた。また、間ノ岳からは野呂川水系から大井川水系になり、千塩尾根につながる道や、熊ノ平小屋も見ることができた。千塩と大井川は縦走と釣りで、どちらも行きたい。

農鳥からは稜線を離れ、加工点からひたすら下り。大門沢小屋に着く頃には土砂降りとなってしまった。雨宿りがてらラーメンを食べ、さらに下り、最後はデポしておいた自転車でささっと車まで戻って行動終了。

結局途中で膝が痛くなり、湿布と痛み止めで無理やり降った。膝は、長いこと降っていると、太もも側の筋肉に膝の腱が引っ張られる感覚が強くなり、閾値を超えると突然痛みが出る。病院でMRIまでやったこともあるが大きな異常はなく炎症ということで、腿の筋力不足と柔軟性不足だと思ってる。筋膜リリース・ストレッチ・トレーニングをサボらず続けなければ。

何を縦走に求めるか

縦走は歩いたことのない道、行った事ない山域を実際に体験するということが主な目的ではある。初めて歩く縦走路はそれ自体に魅力があるし、好きな道なら何度でも歩きたいと思える。それに加えて、生き物・植物・地質・天気・星・写真・山菜・きのこなどの隣接領域をのんびり楽しめればいいなと思っている。しかしながら今回、ワクワク感が少なく、終わった後の充実感も少なかった。

下山後考えていたのは、1泊2日で有名なルートを辿るだけだと、「主体性に欠ける」ということだ。誰もが歩くルートをただ歩くだけだと、テーマ性がなく遊びとして成り立ちにくい。ツェルトを初めたての頃はツェルトで遊ぶ事自体が楽しかったが、今ではそれにも慣れてしまった。釣りのように分かりやすいゲーム性もなければ、山スキーのような冒険感もない。

今後の縦走には、何か一つ遊びのテーマを決めていくようにしようかな。